2025.5.16

決算資料

2025年3月期 通期決算説明(書き起こし)

(西條)皆様、本日はご視聴いただきましてありがとうございます。エキサイトホールディングス株式会社・代表取締役社長CEOの西條でございます。それでは、2025年3月期通期の決算概要についてご説明します。

ONE MEDICALの連結開始とSaaS・DX事業好調により売上高90億9,100万円、YonY17.9%増収

まず決算概要ですが、昨年末に「中期経営計画 EXCITE300」を発表させていただいています。

28年3月期売上高155億円、営業利益16億円、EBITDA23億円、当期純利益10億円。時価総額はその時の相場によりますが、300億円程度を目指していきたいというような計画を発表させていただいています。

2025年3月期の詳細につきましては、次のスライドで詳細をご報告させていただきます。

エグゼクティブサマリーですが、全体としましては、売上高90億9,100万円、YonY17.9%増、EBITDAで8億4,100万円、YonY0.9%減少、営業利益で4億6,500万円、YonY27.6%減となっています。

まず、売上高の増収理由ですが、2024年11月にM&Aしましたオンライン診療のONE MEDICAL株式会社を連結で取り込んでおり、またSaaS・DXが伸びているということで、これら2つが大きく売上に貢献しています。
営業利益に関しましては、元々の方針通り売上高の成長を優先し、広告宣伝費を積極的に投下したというところで減益ではありますが、見通しどおりというところになっています。

プラットフォーム事業につきましては、売上高YonY34.4%の増収、SaaS・DX事業につきましては、売上高YonY36%の増収となっていますが、このプラットフォーム事業のオンライン診療につきまして、決算発表後多数お問合せいただきましたため、私からもご説明します。

ONE MEDICAL株式会社はオンライン診療事業を開始する以前に、医療系メディア事業を展開しておりました。M&Aの際に一定規模ありましたメディア事業が徐々に縮小しており、現在は会社としてメディア事業には注力しない方針を取っています。
そのため、一見するとオンライン診療の売上高が横ばいに見えるかもしれませんが、内訳としましてオンライン診療事業内に含まれるメディア事業が縮小し、実際にはオンライン診療事業自体は着実に成長しているということを申し上げておきたいと思います。

20253通期の実績は、売上高、EBITDA、営業利益、経常利益、当期純利益ともに業績予想達成

通期業績予想との比較につきまして、実績値は全て100%以上というところで、売上高、EBITDA、営業利益、経常利益はレンジ範囲内に収まっています。一方で、親会社に帰属する当期純利益につきましては、当初予想のレンジより上振れて着地しました。

株主還元につきましては、株主の皆様へ安定的かつ持続的な利益還元を行うことを基本方針としており、連結株主資本配当率(DOE)4%の方針を継続しています。24年3月期は上場記念配当30円を含めた年間配当金60円を実施しました。一方、2025年3月期の年間配当金は30円を予定しており、自己株式の取得も行ったため、総還元性向は114.8%となります。また、2026年3月期の年間配当金については、1株当たり1.5円増額の31.5円を見込んでいます。

4Qの連結決算損益計算書です。

売上高は25億7,700万円でYonY24.8%増、EBITDA2億7,200万円、営業利益1億3,000万円、四半期純利益は3,000万円となっています。

4Qまでの累計期間の連結決算損益計算書です。

売上高、EBITDA、営業利益につきましては、エグゼクティブサマリーでご説明したとおりの結果となりました。一方で、M&Aおよび融資関連費用として1億4,900万円、特別損失として1億4,800万円を計上したことにより減益となりましたが、業績予想を上回る水準での着地となっています。

現金および預金残高は配当金や法人税等の支出があったものの、前期末と同水準の残高を維持

連結貸借対照表です。

2025年3月末の現金および預金残高は26億9,500万円となりました。配当金や法人税等の支出があったものの、前期末と同水準の残高を維持できています。
自己資本比率については、ONE MEDICAL株式会社のM&Aに伴う借入38億6,200万円などがあったものの、33.8%を確保しており、引き続き健全な財務体質を維持しています。
のれんに関しましては、ONE MEDICAL株式会社のM&Aに伴い24億7,600万円増加しており、今後10年間で償却していく予定です。
有利子負債の割合については、財務レバレッジを活用し借入が増加していますが、資本を効率的に活用しているという見方もできると考えています。
また、PBR(株価純資産倍率)につきましては、株価の上昇に伴い、前期末の1.41倍から1.79倍へと上昇しています。

メディア事業影響により、20263慎重営業利益見通し

業績見通しと今後の戦略方針です。

2026年3月期の業績見通しは、売上高110億円、EBITDA12億円、営業利益6億1,000万円、経常利益5億6,000万円、親会社に帰属する当期純利益3億2,000万円を見込んでいます。

冒頭でもご紹介しました「中期経営計画 EXCITE300」では、2028年3月期において売上高155億円、EBITDA23億円、営業利益16億円を目指しています。この目標達成に向けて、2026年3月期は3ヶ年計画の初年度という位置づけとなります。市場や株主の皆様からのご期待も大きい中でのスタートと認識しています。

営業利益につきましては、4月よりメディア事業における広告単価の下落が想定を上回る水準で進行しており、この影響を約2億円程度と見込んだ上での予想となっています。そのため、営業利益については慎重な見通しとしています。ただし、メディア事業においてはすでに収益改善に向けた施策を講じています。また、広告宣伝費の最適化による利益確保も視野に入れています。さらに、粗利率の高いM&A事業における成功報酬の成約件数も、現時点の計画を上回る水準を目指して積極的に取り組んでまいります。

業績は必達としつつ、計画以上の成果を目指して全力で取り組む所存です。引き続きご期待いただければと思います。

「中期経営計画 EXCITE300」達成に向けオンライン診療事業とSaaS・DX事業成長エンジン

今後の戦略と方針についてご説明します。

オンライン診療事業につきましては、やや分かりにくい部分があったかもしれませんが、現在、順調に成長を続けています。

詳細につきましては、この後ONE MEDICAL株式会社・代表の勝俣よりご説明しますが、本事業は「中期経営計画 EXCITE300」の達成に向けた重要な成長ドライバーの一つと位置付けています。また、SaaS・DX事業も引き続き堅調に推移しており、今後も成長を促進してまいります。

既存のキャッシュカウ事業については、カウンセリング領域においてさらなる成長余地があると見ており、今後も着実に拡大を図っていく方針です。一方でメディア事業に関しては、足元で広告単価の下落が見られ、一部不透明な要素もございますが、改善に向けた施策を講じてまいります。ブロードバンド事業は、安定的なキャッシュ創出源として維持・運営していく方針です。

当社の成長イメージとしては、各事業を積み重ねていく「ミルフィーユ構造」のような形で、全体として着実な成長を目指してまいります。

それではここからは、ONE MEDICAL株式会社・代表の勝俣より、同社の詳細についてご説明します。

オンライン診療事業は、新規科目の導入が奏功。診察単価の向上により、売上が診察数の成長を上回る

(勝俣)ONE MEDICAL代表の勝俣です。オンライン診療事業に関しましては、累計の診察数が順調に増加しており、直近の四半期において、累計診察が180,000件を突破しました。主な診療科目としては、婦人科のピル、スキンケア、ダイエット、睡眠外来などを展開している状況です。

次に、直近のオンライン診療事業に関するトピックについてご説明します。

オンライン診療事業においては、新規科目の導入により、1回あたりの診察単価が大きく向上しています。特にダイエットやスキンケアといった継続的な利用が見込まれる高単価商材への参入により、ARPPU(課金ユーザー1人あたりの平均収益)が増加し、診察件数の伸びを上回るペースで売上高の成長が進んでいます。

今期はダイエットを中心とした高単価領域への重点的な展開によって、さらなる成長を目指しています。

また、これらの新規科目につきましても、単月での黒字化を達成しており、2024年4Q以降に立ち上げた新規科目に関しましても、すでに黒字化を実現しています。このように、スピード感のある市場参入と早期の収益化を両立させることで、売上と利益の双方における持続的な成長を実現していきたいと考えています。

また、直近ではAIを活用したマーケティングの自動化を進めており、引き続き少人数の体制でも着実に売上を伸ばすことができています。実際に、マーケティングプロセス全体をAIによって効率化することで、診療科目の拡充を進めながらも、人件費を抑制しつつCPA(顧客獲得単価)の改善が進んでいる状況です。

私からの説明は以上となります。

(西條)それでは、2025年3月期通期の決算説明を終了します。ご視聴ありがとうございました。

| 質疑応答

Q :2026年3月期の業績見通しについて、特に利益の成長率が控えめであるように見受けられました。具体的にどのような要因があるのでしょうか?

石井:私から補足させていただきます。先ほど西條からも説明がありましたが、決算短信に記載のとおり、今期の業績見通しに関しては、4月以降エキサイトのメディアサービスにおいて広告単価の下落が発生しており、その影響を織り込んだ形となっています。

現時点では、広告単価の下落による営業利益へのマイナス影響を約2億円程度と見込んでおり、それが今期の業績予想をやや控えめに設定している要因となっています。

リカバリー策としましては、メディアサービス内における新たなジャンルのメディアの立ち上げを進めているほか、グループ全体としては、前期に投資したカウンセリング事業の利益回復、およびオンライン診療事業やM&A仲介事業の利益貢献により、全体としての収益をカバーしていく計画です。

Q  :ONE MEDICALの足元の事業進展状況について、具体的な背景をお伺いしたいです。

石井:ご回答に先立ちまして、改めてONE MEDICAL株式会社の事業内容についてご説明します。

ONE MEDICAL株式会社では、「オンライン診療」と「医療系メディア」の2つのサービスを展開しています。

グループ参画後は、オンライン診療事業に注力する方針を採っており、医療系メディア事業については現在、縮小を進めている状況です。このため、一見すると成長が鈍化しているように見えるかもしれませんが、オンライン診療事業に限って見ると、連結開始月である24年11月と比較して、25年3月の月次売上は約2,000万円ほど増加しており、着実な成長が確認されています。

さらに、4月も順調に売上が伸長しており、オンライン診療事業は堅調に成長を続けているとご理解いただければと思います。

Q  :オンライン診療の今期の方針について教えてください。

石井:ONE MEDICALにつきましては、先ほど勝俣よりご説明させていただきましたので、私からはもう一つのオンライン診療事業であるEMININALの成長戦略についてご説明します。

EMININALについては、ONE MEDICALと同様のビジネスモデルを志向しており、現在、クリニックへの支援範囲を拡大することで、垂直統合に近い効果を生み出せるようなモデルへの転換を進めています。

この取り組みによる成果は、2Q以降に顕在化してくると見込んでいます。こうした施策により、2025年3月期と比較して、売上高は2倍以上を目指すという社内計画を策定しています。